三浦九段の会見概要(2016.12.27)

処分、極めて不当…三浦九段・会見一問一答

三浦九段

まず年末でお忙しい中、お集まりいただき、また、お騒がせして申し訳ありません。私の潔白を信じて応援してくださった方もたくさんいます。その方々にご心配をお掛けしたことを本当に申し訳なく思っています。

昨日の第三者委員会の発表でまず驚いたのは、疑惑の発端となった7月26日の(対局中の)夕食休憩後の30分の離席というのが、そもそもなかったということです。「それなら疑惑自体がそもそもないんじゃないか」と思いました。それは本当におかしい。

二つ目は(今秋の)竜王戦の挑戦者決定三番勝負で、(将棋連盟の)理事が私を監視していたにもかかわらず、不審な点はなかったことです。それならば、そのまま竜王戦七番勝負に私を出場させればよかった。何の心配もないのですから。出場できなかった点が本当に残念です。

また、来年1月3、4日に私の地元(群馬)である将棋のイベントはよく出演させてもらっていたのですが、私の承諾なしに勝手にキャンセルされたことも残念でした。処分が明け、地元の将棋ファンとの交流を持つ、初めての行事でした。

話し足りないこともあるのですが、私の師匠である西村九段にも一言、話していただきたいと思います。

西村九段

私も将棋界に入って55年だが、このような深刻な不祥事は初めてです。本当に残念です。悪質なデマも飛び回って私は心配していたが、昨日の第三者委員会の報告で疑惑はないと証明された。

彼は約2カ月半にわたって、棋士にとっていちばん大事なことである対局を止められてしまった。この世界ではきわめて深刻な問題で、彼は精神的にも非常に弱っている。私もとても心配している。早く元気に立ち直って、心配しているファンもいるので、対局に復帰してもらいたい。

横張弁護士

詳細な話は連盟と協議するのでお伝えできないこともありますが、可能な限り、第三者委員会の報告書について意見を述べたい。まず大前提として、第三者委員会というのは将棋連盟が多額のお金を出して雇っている弁護士ということで、残念ながら依頼者の連盟を有利に書いてしまうのは仕方ないと思います。

昨日の報告書で「三浦棋士が不正の有無について認める証拠はない」というのは、明らかに事実ですし、いくら調べても不正の証拠は出ていないことはこちらも分かっていた。

しかし処分の妥当性が「やむを得なかった」というのは、将棋連盟に寄り添った意見できわめて不当です。委員会は出場停止処分の根拠として、(1)処分当時は三浦棋士に対する「ソフト指し疑惑」が強く存在していた(2)三浦棋士がそのまま竜王戦七番勝負に出場すれば大きな混乱は必至だった(3)出場すれば将棋連盟や将棋界に対する信頼や権威が傷つくことが容易に予想された(4)処分当時は竜王戦の開幕が3日後に控えており、時間的な余裕が無く、他の現実的な選択肢がなかった(5)三浦棋士が竜王戦の休場の申し出を行ったことを受け、挑戦者交代について共同主催者の承諾を受けており、三浦棋士がそれを撤回した時点では後戻りできなかった--という5点です。

(1)のソフト疑惑について、処分当時の疑惑というのは、一部の棋士の発言による「指し手の(将棋ソフトとの)一致率」や、長時間の離席という根拠が薄弱な状況証拠に基づいていた。指し手の一致率は三浦棋士よりも高い率で一致している棋士もおり、長時間の離席に至っては、そもそも事実がなかった。竜王戦挑戦者決定三番勝負の2、3局で連盟が三浦棋士を監視していたにもかかわらず、不審な行動は認められなかった。それならば、それは疑惑ではなく、一部棋士による邪推に過ぎない。

(2)は、竜王戦七番勝負においては金属探知機での検査が予定されていた。対局者の不正行為に関する疑惑を持たれることはなくなっており、大きな混乱は予測されなかった状況にあった。

(3)も根拠薄弱な一致率、離席で、一方的に挑戦権を失うことのほうが、将棋界の信頼や権威を大きく傷つけることになると思います。実際、将棋界は大きく信頼を損なう結果になっている。

(4)は「他に取りうる現実的な選択肢」として竜王戦から金属探知機による検査が導入された。しかも挑戦者決定三番勝負の時点で理事が監視していたのならば、その時にはすでに疑惑はあった。七番勝負開幕の3日前に急きょ(判断を)迫られたというものではない。

(5)については二つの事情に分かれている。まず、三浦棋士が休場の申し出をした事実関係について述べたい。今年10月11日、将棋連盟において三浦棋士は、多数の理事とその場に居合わせた棋士から不正行為を指摘され、竜王戦の辞退と休場届を出すことを求められた。三浦棋士は当初拒んだが、連盟の職員の取り次ぎで電話に出た理事が会議室に戻ってきて「竜王戦七番勝負が開催されないことになった」と会議室にいた人に報告した。「竜王戦が開催されなくなったことを承知してくれるか」との申し出が理事からあり、三浦棋士は「主催者側の判断として開催しないなら仕方ない」と受け入れざるを得ず、渡辺(明)竜王も申し出にうなずいていた。

さらに理事は「今回のことは連盟にとって大変な損害ですよ。分かっていますか」と三浦棋士を責め立て、「三浦さんには休場届を出してもらいます」と提出することを求めました。三浦棋士は竜王戦がなくなることを受け、その場では承諾しました。しかし、その後、三浦棋士は「自らの不正を認めることになる」として撤回し、拒みました。よって、こちらから、休場を申し出たわけではない。実際には、開催されないとされた竜王戦七番勝負は、挑戦者を変更する形で開催された。三浦棋士は出場停止処分が下された後で、その事実を知った。

また、「後戻りができなくなった」とされているが、三浦棋士が口頭で休場の申し出を了承したのは今年10月11日で、連盟は「翌12日午後3時までに休場届を提出しなかった」ことをもって出場停止処分を出している。このような将棋連盟の軽率な判断で、共同主催者との話を進めていたのであれば、三浦棋士のせいではなく、将棋連盟の落ち度と思っています。

さらに、本件は常務会で決定したが、竜王戦七番勝負の出場権を奪うというきわめて重大な決定は理事会で検討すべきで、適正な手続きの点でも妥当性を欠いている。第三者委員が、あのような発表をしたのは分かる部分もあるが、客観的な判断からすれば処分が妥当だったとは到底言えないと思います。

 --連盟に被害の補償を求めるのか。

横張弁護士

今回の件によって三浦棋士は金銭的にも被害を受けているので、請求するのは当然。また名誉を侵害されているので、謝罪も重要になってくる。まだ具体的な話は進んでいないが、これから協議を重ねていく予定です。

 --「三浦九段がクロ」と決めつけるようなことをツイッターに書いた棋士などに対して、個人に対する名誉毀損(きそん)も成立する可能性があるが、それは考えているか。

横張弁護士

その点も含めてまだ協議中で、方針を明らかにする状況ではない。

 --七番勝負の対戦相手だったはずの渡辺明竜王が疑惑を追及したことがきっかけだったが、どのように思っていますか。

三浦九段

うーん。本来だったら、七番勝負で対戦する相手だったので思うところがあります。そもそも渡辺さんとも何局も対局していますし、疑われて、「そんなふうに思っていたのか」と思いました。対局者だったら(ソフトを使っていないことは)分かると思うんですけど……。週刊誌かなんかで「最初は疑っていなかった」と書いていたが、それが普通だと思う。もしかしたら誰かが(渡辺竜王に)言ったのかも分からないのですが、残念です。

 --将棋に対する思いは。

三浦九段

やっぱり2カ月半以上将棋の勉強どころではなかったので、一刻も早く騒動が落ち着いて、元の環境に戻りたい。まったく(将棋の)勉強をしてない中ですが、結果を出さないといけないと思っていますので、結果が残せるように頑張りたいと思っています。

 --今、将棋連盟に求めたいこと、言いたいことは。

三浦九段

無理なんでしょうけど、元の状態に戻してほしい。難しいんでしょうけど、竜王戦を(やり直したい)。元の状態に戻してほしい。難しいんでしょうけれど。

 --どうすれば、今回のような件の再発を防げるか。

三浦九段

コンピューターが強くなってきたということで、今回の竜王戦のように金属探知機を導入するなど、厳しい検査をすることが一番いいと思っていた。そうすれば疑われるような人も出てこないでしょうし、相手を疑うのも嫌だった。「厳しい環境で事前にチェックをするのがいい」と前から提言してきた。こういう事態になったので、金属探知機などの厳しいチェックの中で指していくことが、棋士にとってもいちばんいいと思います。

 --三浦さんは離席したとき、どのようなことをしていたのか。

三浦九段

私に限った話ではないですが、休憩室の「桂」というところにいました。対局室で横になってしまうのは良くないので、そこで横になる棋士は多いです。あとは手洗いですね。あと、私はよく出前を取っていたのですが、かつては食事休憩に外出しても構わないというルールはありました。

 --2カ月半はどのような毎日をどのような思いで過ごしていたか。

三浦九段

私個人だけのことならなんとか耐えられたのに、家族がまいってしまった。「なんでこんな仕打ちを受けなければいけないのかな」と思っていた。家族がひどい目にあい、迷惑を掛けてしまって申し訳ない。一方で、応援してくれた棋士やファンもいたので励みになった。ただ、推測で言われてしまうのはつらいですし、悔しい思いもあります。全然、勉強できない環境でしたし、「シロ(無実)」の証明は大変なのですが、白に近づけるように証明することが最優先だった。「『悪魔の証明』なので不可能だ」との思いもあったが、限りなくシロに近づくことを考えていた。(将棋の)勉強はまったくしていないが、言い訳をしてはいけない職業です。騒動が落ち着くのは時間がかかるが、できるだけ盤駒に触れて努力したい。

 --棋士全体に対する思いは。

三浦九段

私を信じてくれた棋士もいる。しかし言いたくはないが、私を疑った棋士がいるわけで、気持ち良く対局に臨めるかというと……。とはいえ勝負師であるので、そうした感情に左右されず、復帰したなら対局に臨まないといけないと思います。

 --第三者委員会の報告を聞いて、率直にどう思ったか?

三浦九段

自信はあったし、シロという結果が出てくるのは当たり前です。ただ「(自分への)処分が妥当か」については、そういった(妥当という)結論も想像していた。繰り返しになってしまうが、疑惑もなく、監視しても不正がなかったのなら「なぜ私を竜王戦に出場させなかったのか」という点で驚いた。

 --休場中に、不戦敗という影響が出てしまったことについて。

三浦九段

対局(の棋譜)を新聞に掲載してもらえる将棋も多い。私が迷惑を掛けたというのは正しい言い方とは思わないが、そういった意味で新聞社の方にご迷惑をお掛けしたのは申し訳ないという思いはあります。(対局できなかったのは)残念で仕方ない。(出場停止処分は)なんとかならなかったものなのかなという気持ちです。

Copyright 毎日新聞(2016年12月27日 配信記事より引用)

文章はそのままですが発言者を太字にさせて頂きました。

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