初防衛を目指す渡辺明竜王に
丸山忠久九段が挑戦する、第29期竜王戦7番勝負。
開幕戦を渡辺竜王が制して迎えた注目の第2局が
明日より、神奈川県は箱根町「箱根ホテル小涌園」にて
開幕の時を迎えます。。
渡辺竜王の今期ここまでの成績は
17戦11勝6敗(.647)。順位戦はA級で2勝2敗。
毎年この時期から調子を上げていく将棋界の「冬将軍」は
今月3日に三浦弘行九段と対戦したA級順位戦/4回戦を落とすと
直近の対局となる21日に行われた王将戦挑決リーグの2回戦
久保利明九段戦でも黒星を喫し、10月はここまで2勝2敗。。
とりわけ、三浦九段とのA級戦は
将棋界内部でくすぶっていた三浦九段の将棋ソフト不正疑惑を
白日の下に晒す、決定的な引き金を引きました。
竜王戦挑戦者でもある三浦九段との前哨戦に違和感を覚えた
渡辺竜王は竜王戦開幕(15日)を目前に控えていたこともあり
疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない
との強い決意を将棋連盟幹部に迫り
結果、三浦九段は不正の証拠もないにも関わらず
ほぼ言いがかりのような理由付けで竜王戦挑戦権剥奪
年内の公式戦出場停止の処分が課せられました。
代わりに挑戦者となったのが
三浦九段との決勝三番勝負に1勝2敗で敗れた丸山九段。。
丸山九段の今期ここまでの成績は
20戦10勝10敗(.500)。順位戦はB級1組で1勝4敗。
羽生世代が誇る「4人の名人」のひとりでありながら
自らの対局以外は見せず、語らずの姿勢を貫く孤高の天才は
三浦九段との対局で不審に思うことはなかった。一連の経緯には今も疑問が残っている。
渡辺竜王のA級戦と同様に
三浦九段の「疑惑の対局」4局のうちに数えられる
決勝三番勝負/第2局、第3局を戦ったにも関わらず
三浦九段は無実と擁護し、将棋連盟側に疑問を呈した
事実上、初めてのトップ棋士となりました。
それだけに、今回の番勝負に懸ける思いはひと一倍。
見世物的なパフォーマンスや提灯行列には全く縁の無い
研ぎ澄まされた感性と強い美意識持つ誇り高き勝負師は
静かに耳を欹て、刃を磨き、渡辺竜王と相対します。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで25戦して、渡辺竜王が16勝9敗とリード。
第2局の先手は渡辺竜王。
戦型は「角換わり」が本命で「横歩取り」が有力でしょうか。
本局はまた、立会人に森内俊之九段が登場。
盟友の羽生善治三冠、佐藤康光九段も参加した
渡辺竜王の強い要望で開催された極秘会合にお呼びがかからず
その後も不正疑惑問題に関するコメントを出さずに沈黙を守る
森内九段の見解や胸中にも大きな注目が集まりますが。。
「不正疑惑」は水掛け論、泥沼の展開へとまっしぐら。。
その延長線上にある竜王戦も、不穏な空気に包まれます。。