――小学校に上がる前に将棋を覚えて、お母さんに勝つようになって、その後は?
「すぐに地元の大会に参加して、小学校2年くらいには道場に通っていたと思います」
――早いですね。でもさすがに道場では負かされたんですよね?
「いや、それが勝てたんです」
――ホントですか。すごいですね。初段になったのはいつ頃だったんですか?
「道場にいった初日に初段に認定されました」
――はぁ~。小2で初段ですか。では小3で四段、みたいな感じですか?
「いえ、小2で四段になっていました」
――むちゃくちゃですね。小学生時代は何か大会で優勝されたとかありましたか?
「3年生のとき倉敷王将戦の低学年の部で優勝して、4年生のとき高学年の部で優勝しました」
少し前に話題になった
増田康宏四段のインタビュー記事を拝見しましたが
予想を超えた、もしくは、目から鱗の回答のオンパレードで
これは確かに面白い。。
増田四段と言えば
15歳で三段リーグ参戦を果たすなど、奨励会の頃から音に高く
惜しくも「中学生プロ棋士」は逃したものの、若干16歳にして
鳴り物入りで「四段、プロデビュー」を飾った「神童」。
しかし、プロ入り後は
第5期加古川青流戦の決勝三番勝負で稲葉聡アマに敗れ
史上初めてプロ棋戦でアマチュアが優勝を飾る快挙を許し
今年の3月にはAmebaTV「炎の七番勝負」で現在の「神童」
藤井聡太四段と開幕戦を戦い、見せ場なく完敗。。
前期の第47期新人王戦で優勝するなど実績も残しますが
ここぞの舞台で引き立て役に甘んじた印象が強く残ります。。
そうした目で読んだからこそ
それまで知らなかった、あるいは気づかなかった
増田四段の魅力に気がつき、一気に幻想が高まりました。。
「ネット将棋は全く指さない」
「研究会はしない。行くのが面倒だから」
「詰将棋は全くとかない。実戦に出ないから意味がない」
などなど。
現在19歳の増田四段の思考は合理的かつ実戦的。
では普段、どうやって
将棋の研究や実戦を積んでいるのかと言えば
「コンピュータと指しています。今は『激指』とやっています」
また、インタビューの中では
藤井四段との「炎の七番勝負」での対局についてもふれられています。
これまでで負けて一番悔しかった将棋は?
「AbemaTVの藤井四段戦です」
――注目された対局でしたからね。
「生まれて初めて年下に平手で負けました」
――なんと!そうなんですか。増田先生が19歳、藤井四段が15歳ですか。増田先生から見て藤井四段はどうですか?
「序盤がうまいです。普通若いと序盤は粗いとしたものなのに、しっかりしてます」
――先生と対戦した将棋、観戦してましたけど終盤の▲9七玉にはびっくりしました。
「あれは・・・不覚でしたね。あんなに強くなっているとは思いませんでした」
――あ、以前にも対局したことがあったんですか?
「はい。藤井四段が三段になったときに一度。そのときは勝ちました。今回もまぁ勝てるだろうと思ってたんですが、自分の想像以上に強くなっていました」
個人的には
「今回はまぁ勝てるだろうと思ってたんですが」
という部分が一番好きで、興味を惹かれたコメント。
当然、藤井四段を舐めていたという意味ではなくて
「まさか自分が負けるとは思わなかった」という意味で解釈しましたが
それは「神武以来の天才」加藤一二三九段に通じる強い自負といいますか
天才が天才であることを自覚するが故の発言であると。。
あまりにも爽やかで格好いい増田四段のインタビューは一見の価値あり。
読めば必ずや増田四段の世界に心を鷲づかみにされ、とりこになるはず。。