月光の如く。

竜王戦決勝三番勝負/第1局「誇り高き、激辛流を振り返ろう」

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昨日、東京・将棋会館にて行われました
第29期竜王戦挑戦者決定三番勝負/第1局は
101手までで、先手・丸山忠久九段が勝利。

棋譜中継はこちら

戦型は「横歩取り」。
双方ともに最新形から意欲的かつ攻撃的な指し回しをみせ
大一番らしく意地と気合がぶつかり合う大熱戦となりましたが
受けは手厚く、攻めに熱い「激辛流」の本領を存分に発揮した
丸山九段がらしさ全開に、開幕戦白星を飾りました。

今期の竜王戦決勝三番勝負が
丸山九段と三浦弘行九段の顔合わせに決定した直後から

「どちらが勝っても渡辺明竜王に適うわけがない」
「今期の竜王戦は盛り上がらない」

との声が多く聞かれました。

確かに、定跡を重視する居飛車の本格派で戦型の幅が狭い
両者は渡辺竜王との相性が悪く、タイトル戦での顔合わせでは
ともに見せ場すらなく渡辺竜王の軍門に下りました。

しかし、個人的には
どちらが勝っても渡辺竜王との番勝負は楽しみであり
今期の竜王戦は大いに期待しています。

とりわけ、丸山九段は「羽生世代」の中で
最も過小評価されている棋士であると長年に渡り思っています。
名人2期を誇る大物棋士であるにもかかわらず。

丸山九段は一つの戦型に徹底的に拘ることで知られ
2年連続挑戦した第24期(2011年)、第25期(12年)の
竜王戦では渡辺竜王相手に「角換わり」を連発。。

どちらの番勝負も
渡辺竜王の分厚い壁に跳ね返される格好で大敗で繰り返し
1勝4敗の成績で惨敗に終わりました。

しかし、負けてなお気高く。

自らの理想を追求し、それを実現するための研究と努力を重ね
感性を研ぎ澄まし、刃を磨き上げて臨んだ戦いで丸山九段が望んだ
結末は勝利への執念ではなく、美学に殉ずることでした。

人にどう思われるかではなく
自分が信じたことを全てやり切ったのだという
勝負師の気概と気品に満ち溢れました。

羽生善治三冠や渡辺明竜王に代表されるように
ほぼ理系の頭脳がトップ集団を形成する将棋界において
丸山九段は数少ない文学的な匂いがする稀な棋士。

ウェートトレーニングで体を鍛えていたという
エピソードは三島由紀夫ばりのナルシシズムを想起させるわりに
美人と評判の奥様は棋士仲間でさえ見た者はほぼいないと噂される
プライベートは謎のベールに包まれます。。

羽生三冠が太陽であるならば、丸山九段は月である。
周りを明るく照らすでもなく、熱を与えるでもない。
しかし、淡々と、静かで妖しげな輝きを放ち続ける。。

世代交代が明確なテーマとなった現在の将棋界ですが
「羽生世代vs渡辺竜王」もまた、現在進行形の大きなテーマ。

竜王戦の舞台で最初に
打倒・渡辺竜王を果たしたのは森内俊之九段でしたが
個人的に続くのは、丸山九段であって欲しいと願っており
今回はその、大きなチャンスであると信じています。

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