明日より、第77期名人戦7番勝負/第1局開幕

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4連覇を目指す佐藤天彦名人に
豊島将之ニ冠が挑戦する、第77期名人戦7番勝負。

将棋界に春の訪れを告げる歴史と伝統のタイトル戦が
いよいよ明日より、開幕戦の舞台としてすっかり定着した
東京都文京区「ホテル椿山荘東京」にて、運命の幕を開きます。

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佐藤名人の前期成績は42戦27勝15敗(.643)。
羽生善治九段の挑戦を受けた名人戦は開幕戦黒星スタートの後
しり上がりに調子を上げて行き、最後は問答無用の3連勝で圧倒
4勝2敗の成績で見事、3連覇を達成しました。

「角換わり」と「横歩取り」を主戦に据える
生粋の居飛車党で、最先端の常にその先を行く研究将棋をベースに
序盤は相手の主張に丁寧に耳を傾けながら、本筋をじっくり掘下げると
中盤の分れで相手がここぞばかりと前に出た瞬間に、鮮やかに切り返す
名人の勝ちパターンにはまるとまず、抜け出すことは不可能。。

特に、名人戴冠以降は
一年を「名人戦での4勝」を念頭に置いて過ごしているのは明白で
その棋風と合理的な考え方は「名人戦男」と畏怖された森内俊之九段と
竜王戦9連覇時代の渡辺明二冠の姿が色濃く重なります。。

4連覇の懸かる今期は将棋ファン待望の
奨励会時代より因縁浅からぬ最大のライバル・豊島二冠がついに
挑戦者として姿を現し、後2期まで迫った「永世名人」称号獲得へ
あらためて真価が問われる、注目度も格別なシリーズとなるだけに
佐藤名人流の負けなし将棋にプラスした、いやその範疇を突き破る
新たな次元での未知なる将棋の披露へ期待と興奮が高まります。

対します、挑戦者
豊島将之ニ冠の前期成績は55戦35勝20敗(.636)。
参戦二期目を迎えたA級順位戦では開幕6連勝とロケットスタートを決め
最終戦成績8勝1敗で見事優勝。名人挑戦権を獲得しました。

将棋界初の「平成生まれのプロ棋士」として16歳でデビューして以来
一年の例外もなく高い勝率を安定して残し続ける豊島二冠ですが、しかし
勝負どころで武運つたなく、なかなかタイトルに手が届きませんでした。。

月の半分は研究会に参加しているといわれるほどの研究熱心で
居飛車、振り飛車ともに苦もなく指しこなすオールラウンダーという
デビュー当初の売り文句も、タイトル戦での敗戦を重ねていくうちに
「線の細さ」や「器用貧乏」といった言葉を連想させるように。。

閉塞感に包まれた長い時間の合間には、佐藤名人だけでなく
「関西若手四天王」として切磋琢磨してきたライバルにして盟友の
糸谷哲郎八段と稲葉陽八段にもタイトル獲得などの実績で先を越され
次代のエース候補筆頭だった豊島二冠を追い詰めます。。

しかし、AI時代の到来が閉塞感を打破する大きなきっかけとなり
それまでの集団研究を止め、将棋ソフトと1対1で日々向かい合う
研究スタイルに変えると、ついに眠っていた才能が目を覚まします。。

より逞しく攻撃的に進化した将棋で圧勝につぐ圧勝を積み重ねると
16年度には新人王戦で苦杯を舐めた佐藤名人に借りを返し棋戦初優勝
前期は自身5度目のタイトル挑戦となった棋聖戦で、フルセットの末に
羽生九段に競り勝ち悲願の初タイトル奪取に成功。すると勢いそのままに
続く王位戦でも菅井竜也七段をフルセットの末に振り切り、見事二冠達成
最後の殻を突き破った秀英は一躍、天下統一の最前列へと躍り出ました。

そして、いよいよ、満を持して
常にエリートコースの先を行き、背中を追いかける立場に甘んじて来た
佐藤名人に追いつき、そして追い越すべく、選ばれし者だけの晴れ舞台
名人戦に姿を現す28歳になった秀英・豊島二冠にはもうひ弱さはなく
凄味と殺気を身に纏う純然たるファイター、掛け値なしの勝負師として
一切の迷いなく、名人の看板を奪いに行きます。

気になる両者の対戦成績は
ここまで17戦して、豊島二冠が11勝6敗とリード。
現在も4連勝中と指し込みます。

奨励会の頃より将来を嘱望され続けてきた
秀英同士がついに番勝負で雌雄を決する運命の名人戦。
開幕戦からもちろん、必見あるのみです。。

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