7年ぶりの頂上決戦。。明日より、第30期竜王戦7番勝負/第1局開幕

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通算12期目の防衛を目指す渡辺明竜王に
羽生善治棋聖が挑戦する、第30期竜王戦7番勝負。

7年ぶりに頂上決戦が実現する「冬の本場所」が
明日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」にて
いよいよ運命の開幕を迎えます。。

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渡辺竜王の今期ここまでの成績は
20戦9勝11敗(.450)。順位戦はA級で2勝3敗。

自らが主導した三浦弘行九段に対する「将棋ソフト冤罪事件」により
前代未聞の挑戦者交代となった前期竜王戦で丸山忠久九段の挑戦を受け
フルセットの大熱戦の末、4勝3敗で辛くも防衛を果たした渡辺竜王は
続く棋王戦でも若き挑戦者・千田翔太六段の前に開幕から苦戦を強いられ
先にカド番に立たされるも土壇場で底力を発揮し、やはりフルセットの末
逆転防衛に成功、二冠を保持して今シーズンを迎えました。

しかし、心機一転を期すも調子は一向に上がらず。。
春先から常に黒星先行、連勝が一度もないまま虎の子のタイトルである
竜王戦の開幕戦に臨むこととなりました。

「冬将軍」の異名を取り
竜王戦開幕に合わせて上昇気流に乗るのが例年のパターンであり
今期も直近の対局で居飛車の実力者・深浦康市九段に完勝を飾りましたが
しかし、かつて「羽生世代」の死に物狂いの挑戦をことごとくその豪腕で葬り
前人未到の竜王戦9連覇を達成した頃の圧倒的なオーラや凄味は感じられず
その周囲にはどこかどんよりと、重い空気を漂わせます。。

一方の挑戦者・羽生棋聖の今期ここまでの成績は
34戦18勝16敗(.529)。順位戦はA級で2勝2敗。

三冠を保持し、迎えた今シーズは
6月の棋聖戦で関西の新若大将・斎藤慎太郎七段の挑戦を退け
見事防衛を果たしたものの、続く王位戦では振り飛車党の若き旗頭
菅井竜也七段(当時)の前に為すすべなく完敗を喫し、無念の王位陥落。
そのショックも冷めぬうちに迎えた王座戦でも中村太地六段(同)の前に
常に先行される苦しい展開の末に1勝3敗で敗れ、まさかの連続失冠。。
13年ぶりに一冠に後退し、竜王戦の開幕を迎えます。

将棋ソフトの完成度がほぼ究極の地点まで到達し
トップ棋士や優秀な若手がこぞって研究パートナーとして活用する
現代の将棋界では先人達が長い歳月を積み重ね試行錯誤の末に確立した
序盤の定跡や常識がどんどん意味を成さなくなりつつあるのが現状。。

同世代のライバル達と公式戦で凌ぎを削りながら
課題局面や定跡を集団研究によって深化させてきた世代の頂点に君臨し
将棋のステイタスを押し上げた羽生棋聖にとっては、年齢的な衰えよりも
研究方法のイノベーションと、これまでの蓄積が通用しない全く新しい
発想と概念の出現が成績低下に直結し、かつてない苦しみに喘ぎます。。

その苦悩は渡辺竜王にもそのまま当てはまり
ここ数年は2手目△8四歩の拘りを捨て、後手番で振り飛車を取り入れるなど
将棋の幅を広げることに苦心し、また若手の突き上げに神経を尖らせます。。

しかし、現在47歳の羽生棋聖はともかく、現在まだ33歳。
最も脂が乗って指し盛りと言われる30代半ばをこれから迎える渡辺竜王が
柔軟に将棋ソフトを活用できないというのは意外と言うのか皮肉とみるか。。

いずれにしても
誰もが認める将棋界の頂上決戦、プラチナカードであった
「渡辺竜王―羽生棋聖」の竜王戦は7年前とは全く違う空気の中で
新しい価値観と両者の存在意義を示すべく、いざ開幕の時を待ちます。。

竜王戦/第1局の棋譜中継はこちら

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