【 投了図・107手目▲6五香 】
昨日、決着をみました
注目の第75期名人戦7番勝負/第5局は
上図107手までで、先手・佐藤名人が勝利。
今シリーズ初めて先手番で勝利を飾り
番勝負成績を3勝2敗とした佐藤名人が
名人初防衛に王手をかけました。
この10年間、名勝負を繰り広げながら
ともに永世名人資格を獲得し、主役の座を分け合った
羽生三冠と森内九段がいずれも登場しない今期の名人戦。
だからなのか「今一つ盛り上がりに欠ける」との声を
よく耳にしますが、個人的には番勝負が深まるにつれて
盤上に反映される両者の個性や棋風への理解も徐々に深まり
長丁場の名人戦らしい見所のある面白いシリーズに感じます。
同じく物足りないとの声が聞かれる
両者のスター性や華というものも、これから磨かれるもので
むしろ楽しみの方が大きいと言えるのではないでしょうか。
前期の名人戦は第2局の大逆転劇で流れが変わりましたが
その後の3局は全て、あの羽生名人(当時)が手も足も出ない
佐藤八段(同)のほぼ完璧な内容での圧勝で、名人戦史上に残る
説得力に満ち溢れた新名人誕生となりました。
その3局の戦型は全て
昨日の第5局でも採用された「横歩取り」。
佐藤名人と稲葉八段という
研究将棋の代名詞である「横歩取り」の言わずと知れた
現代将棋界最高のエキスパート同士が雌雄を決するのは
決して偶然とは思えず、強く必然を感じます。。
本格的な人工知能時代突入を目前に控える今だからこそ
プロの将棋の最先端を切り開く両雄が名人戦で披露する
将棋に対する価値観やアプローチは必見の価値あり。。
佐藤名人が防衛に王手をかけ、最大でも残りは2局。
新しい名人戦はその真価とともにクライマックスへ向かいます。