初防衛を目指す渡辺明竜王に
丸山忠久九段が挑戦する第２９期竜王戦７番勝負。
将棋界の「冬の本場所」がいよいよ明日
京都府京都市「天龍寺」にて開幕の時を迎えます。
渡辺竜王の今期ここまでの成績は
１５戦１０勝５敗（．６６７）。順位戦はＡ級で２勝２敗。
２００４年度の第１７期竜王戦で
若干２０歳、段位六段で森内俊之竜王（当時）に挑戦し
フルセットの死闘の末、見事竜王奪取に成功。
晴れて竜王となった渡辺竜王はそこから破竹の９連覇。
しかも、羽生善治三冠を筆頭に佐藤康光九段、森内俊之九段
そして今回の挑戦者でもある丸山忠久九段の羽生世代が誇る
「４人の名人」をそれぞれ２度ずつ退けての圧巻の防衛劇は
渡辺竜王を「羽生世代」の次の時代の絶対王者に押し上げ
その地位を不動のものとしました。
１０連覇の懸かった３年前の第２６期竜王戦で
鬼と化した森内九段の前に敗れ、竜王陥落となりましたが
しかし昨年、その森内九段からタイトルを奪った若き王者
糸谷哲郎竜王に力の差をみせつけ、竜王に復帰。
将棋界がわずか２年で、元の姿に戻りました。
この２年の間に
生粋の居飛車党から後手番で振り飛車を取り入れるなど
芸域を広げ、さらなる進化を遂げた渡辺竜王。
今回のシリーズも研ぎ澄まされた研究と豪腕を武器に
虎の子のタイトル防衛を狙います。
対します、丸山九段の今期ここまでの成績は
１９戦１０勝９敗（．５２６）。順位戦はＢ級１組で1勝４敗。
独自の研究を重ね
長年に渡り愛用し続ける「角換わり」に代表されるように
強い拘りと独特の価値観を持ち、時に美学に殉ずことも厭わない
丸山九段は個性豊かな「羽生世代」の中にあっても一線を画す
文字通りの孤高の天才。
今期の竜王戦は決勝三番勝負で三浦弘行九段と対戦し
開幕戦こそ完勝でものにするも、第２局、第３局で完敗を喫し
挑戦権獲得はなりませんでした。。
しかし、ここにきて三浦九段の不正疑惑が持ち上がり
まさかの出場停止、たなボタ的に竜王挑戦権が巡ってきました。
このチャンス、いかさぬ手はありません。
守りは厚く、攻めは熱くの激辛流は健在。
４年ぶり３度目の渡辺竜王との竜王戦で狙うはもちろん
過去２回敗れたリベンジと竜王奪取あるのみです。
気になる両者の対戦成績は
ここまで２４戦して、渡辺竜王が１５勝９敗とリード。
振り駒で手番の決まる開幕戦
戦型予想は難しいですが、将棋界がざわつく最中だけに
相居飛車での真っ向勝負が期待されます。
大事な開幕戦をものにするのは
果たして、渡辺竜王か、丸山九段か。。
熱戦の火ぶたが切られます。
