リアリズムの裏側

第41期棋王戦5番勝負/第3局「渡辺棋王、凄味ある勝利。。4連覇に王手」

【 投了図・170手目△6五桂 】

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本日、新潟にて行われました
第41期棋王戦5番勝負/第3局は、上図170手までで
後手・渡辺棋王が勝利。

戦型は渡辺棋王が「ゴキゲン中飛車」を投入。
生粋の居飛車党・佐藤八段は「超速▲3七銀」を採用し
囲いは「相穴熊」となりました。

中盤で飛車・角の大駒を先手に気持ち良く渡して
じっと受けに回った渡辺棋王が、終盤戦突入と同時に
攻撃のアクセルを強く踏み込み、怒涛の反撃に転じると
保たれていた均衡は崩れ、流れは後手へと傾きます。。

形勢を損ねた佐藤八段は最後の最後まで粘りますが
100手を越えて以降の展開で形勢が揺らいだ局面は事実上なく
長く続いた終盤戦は渡辺棋王の手堅さと辛さを際立たせました。

個人的に本局で
一番印象に残ったのはやはり、渡辺棋王の振り飛車投入。

以前は2手目△8四歩が代名詞だった渡辺棋王ですが
ここ数年は後手番で積極的に振り飛車を採用しており
1勝1敗で迎えた番3局目の後手番で飛車を振っても
作戦的には何ら不思議はありませんが。。。

しかし、公私共に親交の深い弟分・佐藤八段の挑戦を受ける
タイトル戦で相手の得意とする相居飛車を避けるというのは
「羽生世代」的な価値観でいうと、戸惑いを覚えるところ。

渡辺棋王は相手の得意を受けて立って勝っても
こちらが事前に用意した作戦で勝っても、同じ1勝だという
当たり前の価値観で勝利をものにしたとも言えますが、裏を返せば
後手を持って佐藤八段と相居飛車で戦うのを嫌ったともとれます。

それが多分、今回の振り飛車投入の大きな理由の一つで
ここ最近の対局で渡辺棋王は、佐藤八段の「角換わり」、そして
「横歩取り」の切れ味に相当の脅威を感じているはず。。

それだけに、第3局の勝利は大きな価値を持ち
今シリーズで渡辺棋王が優位に立ったのは間違いなく
先手で迎える第4局ではとっておきの研究が披露されそう。。

一方、勝っても負けても評価を高め
末恐ろしさを日に日に具体的なものとしていく佐藤八段が
果たして後手番で迎える第4局をどう凌ぐのか。。

将棋界の近未来を描き出す棋王戦はいよいよ
その色合いを深め、佳境を迎えました。。

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