第67期王将戦 – 毎日新聞
第68期挑戦者決定リーグ対戦表
3連覇を目指す久保利明王将に
渡辺明棋王が挑戦する第68期王将戦7番勝負。
将棋界に新年の訪れを告げる伝統のタイトルが
明日、静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」にて
いよいよ開幕の時を迎えます。
久保王将の今期ここまでの成績は
24戦12勝12敗(.500)。順位戦はA級で3勝4敗。
今期は夏以降に黒星が先行する苦しいシーズンとなりましたが
年末最後の対局で阿久津主税八段、新年最初の対局で深浦康市九段と
現代将棋界を代表する居飛車の実力者をともにA級の舞台で下し連勝。
振り飛車党現党首は番勝負開幕を前に調子をきっちり上げてきました。
長年の研究パートナーである振り飛車党の若き旗頭・菅井竜也七段が
初防衛を目指した王位戦で豊島将之ニ冠に敗れ、無念の無冠転落となり
A級唯一の振り飛車党であるだけでなく唯一のタイトルホルダーとなった
久保王将は文字通り、最後の砦であり希望の星。
全国の振り飛車党から寄せられる大きな声援と期待を背に
久保王将は最強の挑戦者との真っ向勝負に臨みます。。
対します、渡辺棋王の今期ここまでの成績は
32戦25勝7敗(.781)。順位戦はB級1組で開幕無傷の10連勝。
圧倒的な強さで、ぶっちぎりの優勝と1期でのA級復帰を決めました。
将棋界の「冬将軍」の異名の通り11月から公式戦11連勝中。
その間には第39回将棋日本シリーズで見事優勝を飾るなど結果も残し
充実感を漲らせながら、宿命のライバルとの番勝負に挑みます。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで31戦して、久保王将の16勝15敗と拮抗。
両者の番勝負で思い出されるのは
2011年に行なわれました、今でも語り草の名シリーズとなった
第36期棋王戦5番勝負。
「ゴキゲン中飛車」と「石田流」を二枚看板に隆盛を誇った久保二冠に
当時竜王戦7連覇中だった居飛車党の王者・渡辺竜王が挑戦した番勝負は
開幕前から渡辺竜王が「ゴキゲン中飛車を終わらせる」と公言したことで
大きな波紋と話題、そして注目を集めました。
迎えた開幕戦は久保二冠が「石田流」で勝利を飾ると
続く第2局で渡辺竜王は当時流行していた「ゴキゲン中飛車超急戦」を
宣言通り、見事な研究将棋で圧勝を飾り居飛車党の喝采を浴びます。。
結果は3勝1敗で久保二冠が防衛を果たすも
自戦記や終局後のコメントで語られる両者の深くて熱い言葉は胸を打ち
とりわけ、あっけらかんと語られる渡辺棋王の鋭利な読みや見解は衝撃的で
それまでは竜王戦で「羽生世代」の挑戦をことごとく跳ね返すことによって
評価を高めてきた渡辺竜王の、才能と実力をあらためて全国の将棋ファンに
知らしめた、ある意味で歴史的なシリーズともなりました。
あれから早、8年の月日を経て
再び似たような状況で顔を合わせる両雄の対戦は必然であり、必見。
振り飛車党と居飛車党の威信を掛けた、至高の番勝負をぜひお見逃しなく。