ゆきゆきて、いなせな花咲く

重ねた努力に嘘は無し。。「鬼の勝負師・木村新王位誕生」

【 投了図・110手目△2ニ飛 】

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本日、決着をみました大一番
第60期王位戦7番勝負の最終戦/第7局は
上図110手までで、後手・木村一基九段が勝利。

棋譜中継はこちら

終局時刻は午後6時44分。
この瞬間、番勝負を4勝3敗で見事に制した
木村九段が7度目のタイトル挑戦で、ついに
悲願の初タイトルを手にしました。

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木村九段優勢で迎えた最終盤戦
将棋をみていて涙が溢れて止まらなくなったのは
本当に久しぶりですが、胸に迫ったその感動の大きさは
今泉健司四段がプロ編入を決めた大一番に匹敵するほど。

プロの将棋を長くみてきたファンであればあるほど
木村九段の将棋の実力、人柄に触れれば触れるほど
誰もがその魅力の虜となり、自然と応援したくなる
現代将棋界を代表する名棋士はこれまで悲運の影が
土壇場でつきまとい、幾多の辛酸を舐めてきました。

開幕3連勝の後、まさかの4連敗で
深浦康市王位(当時)に歴史的大逆転前を喫した
2009年度の第50期王位戦7番勝負。

3勝2敗と先にタイトルに王手をかけながら
大一番で手が伸びず、羽生善治王位(当時)に逆転を許した
2016年度の第57期王位戦7番勝負。

と、これまでのタイトル戦
とりわけ王位戦を舞台で喫した印象的な敗戦の数々は
木村九段ご自身にとって、筆舌に尽くし難いショックと
悔しさであったことは想像に難くありません。

それでも、その全てを飲み込み飄々と
解説会などでは持ち前の明るさと穏かな言葉で将棋を語り
公式戦では常に居飛車の最新形を取り入れながら勝利を重ね
来るべきチャンスに備え続けた木村九段。

46歳となった今も、将棋への真摯な姿勢は変わらず。
9期ぶりのA級復帰を手土産に、王位戦の舞台に姿を現した
木村九段へ、今をときめく豊島将之王位が相手であってもなお
大きな期待と声援がこだましたのは必然の成り行き。

「千駄ヶ谷の受け師」の異名を取るほどに
自他共に認める受け将棋の名手は、しかし、ここ一番で
必要以上に重厚な受けに拘り、劇的な逆転負けへの引き金を
自ら引く印象がありましたが、歴史を変えた本局では堂々と
攻守にぶれなく時代の若きエースと渡り合い、急所の一手で
強く踏み込み形勢を引き寄せた木村九段は、まさにこれから
全盛期を迎えることを全国の将棋ファンに力強く発信しつつ
どこまでもいなせに格好良く、新たな高みに到達しました。

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