「やはり解任動議をめぐる採決の数字を日本将棋連盟が隠しているから、ことが軽くなるんです。理事も恥になるから自ら数字は言いません」
そう指摘するのはかつてNHK杯の優勝経験もある櫛田陽一七段である。三浦弘行九段の将棋ソフト不正使用疑惑は結局、「シロ」に終わり、公益社団法人日本将棋連盟執行部の責任が問われることになった。連盟会長と常務理事は1月に自ら辞任したが、居残った5人のプロ棋士理事に対しても28人の連盟正会員のプロ棋士から解任動議が出されることになり、2月27日に3人が解任された。櫛田七段は解任動議を提案した28人の1人である。
渡辺明竜王の告発に端を発した
三浦弘行九段に対する「将棋ソフト不正使用」冤罪事件について
メインストリームではないものの、発生当初から事件を追及してきた
「週刊金曜日」が本日、公式ブログにて理事解任に関する記事を公開。
2月27日に行なわれた臨時棋士総会において
青野照市専務理事、中川大輔常務理事、片上大輔常務理事の3名が
棋士からの解任動議に賛成多数により、解任となったわけですが
その時は非公開とされた投票の内訳が明らかとなりました。
ちなみに、今回インタビューに応じたのは
「世紀末四間飛車」の使い手として知られる櫛田陽一七段。
私もファンで一時期よく櫛田七段の棋譜を並べさせて頂きましたが
無頼派であり昔かたぎの将棋指しである櫛田七段が解任動議を提案した
28名の棋士の一人であったとは正直、驚きました。
連盟の会員は234人。当日は18人が棄権したため投票数は216人(委任状含む)。109票が解任ラインとなった。櫛田七段は続ける。
「出席者216人のうち東京(関東)と関西の比率は3対1ほど。私達提案側は関東だけで100は入るのではないかと考えてました」
以下、賛成の得票数だという。括弧内は東京票。
・青野照市九段125票(109)
・中川大輔八段111票(100)
・片上大輔六段112票(104)
・佐藤秀司七段101票(91)
・東和男八段107票(101)
解任となるラインは109票とのことですが
解任された3名の他、否決となった佐藤秀司理事と東和男理事も
賛成票が100票を越えており、本当にギリギリだったことが分かります。
ただ、解任に賛成票を投じたのはほとんど関東所属の棋士で
三浦九段の不正を最初に疑い冤罪への火種を巻いた久保利明九段を擁する
関西将棋界では極一部の棋士しか理事の責任やけじめを求めなかったという
結果ならびに事実も浮き彫りになりました。
投票権のある216名(委任状含む)のうち
約3分の1が関西ということなら、65名前後でしょうか。。
このうち、例えば片上理事の解任に賛成票を投じたのはわずは8名。
最も多い青野理事でも16名が解任に賛成し、50名ほどの棋士は
「別に解任しなくても」という考えだった様子。。
それらが意味することは、これから
様々な形で浮き彫りになっていくのでしょうが、将棋ファンとしては
ひとつの指標となる、意義のあるデータ公開に感じました。