甘くない対局に(2016年7月4日付 中日新聞より。羽生王位コメント)
木村さんは安定感があり、挑戦者決定戦で見せた崩れない指し回しが印象に残っています。前回はじっくりとした展開が多く、持将棋もあって、一筋縄では行かなかった。対戦が多く、手の内を知っているということで安心する部分もありますが、木村さんも今回に懸ける思いは相当なものでしょうから、大変なシリーズになるのでは。このところふがいない成績ですが、王位戦が始まるまでに調子を上げていければと思います。
今期こその思い(同。木村八段コメント)
リーグ戦は、苦しい展開だった山崎八段戦に勝てたのが大きかった。若手棋士のタイトル挑戦が増えてきた中で、四十代の自分が挑戦できたのはよかった。最後まで勝負をあきらめない姿勢を見ていると、羽生王位は充実されているなと感じます。名人失冠でも、気持ちの切替えは早いでしょう。前回は一局指すごとにこちらの調子が崩れていったので、今期はそうならないよに気をつけたい。まずはいい勝負ができればと思います。
さあ、いよいよ明日開幕を迎えます
将棋界「夏の風物詩」第57期王位戦7番勝負。
羽生王位は正念場。。明日より、第57期王位戦7番勝負/第1局開幕
ネットと現実の垣根がなく
感情の起伏が表情に出ない現代っ子とは対照的に
心の有りようがそのままストレートに表情に出る「羽生世代」。
感覚派で文字通りの天才肌である羽生王位は
ことさらその傾向が強い訳ですが、中継ブログの画像を拝見する限り
まるで生気の感じられなかった先週土曜日の棋聖戦/第3局に比べて
対局に気合が乗っている、気持ちが入っている印象を受けます。
しかし、羽生王位以上に
今回の番勝負をチャンスと捉えているであろう木村八段の方が
ある意味で開幕戦にかける気合もモチベーションも上回っているはず。
本日掲載された中日新聞の王位戦特集でのインタビューでは
「充実されているなと感じる」「名人失冠でも、気持ちの切り替えは早いでしょう」
とコメントしていますが、まるで本音には聞こえません。
年明けから不自然にすら感じる、不本意な敗戦を重ね
今期は若手に大きく負け越し精彩を欠く羽生王位に充実は感じられず
また一つの敗戦を深く掘下げ後に引きずる羽生王位が拘りの名人陥落を
簡単に割り切れるわけがないことも、研究パートナーである木村八段が
理解していないはずがありません。。
思うのはただ一つ、つけ入るなら今だと。。
ただ、羽生王位としてもこのタイミングで
長年に渡り公私共に親交があり、気心も手の内も知れた木村八段と
腰を据えて番勝負を戦えるのは願ったり適ったり。。
顔の見える相手との番勝負で手応えを掴めるか。。
羽生王位の今期を占う王位戦が、その幕を開きます。。